紅葉とモデル撮影会の様子 2012/11/04
2012 岩手県写真連盟 日 時 2012年11月4日(日) 雨天決行 |
第65回 岩手芸術祭写真部門 審査は榎並悦子先生
第65回 岩手芸術祭写真部門 審査員は榎並悦子先生 |
榎並悦子(えなみえつこ)先生略歴
京都市生まれ。大学生の頃より写真家・岩宮武二、高田誠三両氏に師事。
卒業後、岩宮武二写真事務所を経てフリーに。国内外を問わず旅することが大好きで、「一期一会」の出会いを大切に、人物や自然、風習、高齢化問題など幅広いフィールドをしなやかな視線でとらえ続けている。写真展に盲老人ホームの日常をとらえた「都わすれ」や東京の下町を撮った「裏から廻って三軒目」、パリの街角をモノクロでとらえた「Paris−刻の面影−」、西陣織の町をを取材した「京都・西陣 機音の響く町」、高齢化率日本一の町を取材した「日本一の長寿郷」、富山県の民謡行事「越中おわら風の盆」など多数開催。写真集に『越中おわら風の盆』、『日本一の長寿郷』『HALA BIRA〜大地を揺るがすフィリピンの祭』などがある。アメリカに暮らす小人症の人々を取材した写真集『Little People』で第37回講談社出版文化賞受賞。最新刊はモノクロ作品集『パリの宝石箱』 (社)日本写真家協会会員、(社)日本写真協会会員
第32回岩手県写真連盟公募展 入賞作品選評
審査員 林 喜一 氏 英国王立写真協会日本支部 理事長
昨年3月11日に東日本沿岸を襲った大震災は日本人として忘れることのできない悲しい思い出になっています。私も家族の肖像写真撮影チームの一員として、被災地を訪問したのですが、周囲の光景に言葉を失いました。私たちの記憶にとどめておきたいという願いを込めて、選考基準も災害を表現したり、それをイメージした物、大切な家族や人と人との絆、癒し系の描写、写真からパワーを頂くような傾向になりました。このことは、岩手県のみならず全国的な動きになっています。
選考の最終に於いては、どこまでも作者の作画意図が、伝わってくるような表現と、しっかりしたプリントに仕上がっているものが残り、第5次審査までもつれました。
入賞入選に至らなかった作品の中にも、良いものが沢山ありましたが、賞の数に限りがありまして、残念に思います。第33回展も沢山の応募をお待ちしています。
連盟大賞 「痛恨の悔み」有田 勉
(写真集団「みやこ」)
静かに過ぎて行く時間の中で、目を閉じて何を考えているのでしょうか?表情に刻まれている顔は苦労された人生の年輪のようなものを感じます。体調もよろしくないのでしょうか?右手で押さえている杖にも惹きつけられるものを感じます。
金賞 「3.11生きる」口川 忠雄
(釜石フォト35)
タイトルに沿ったリアルな内容になっていますね。背景にある一つ一つの物が、その散乱状態から3.11の津波のエネルギーを想像させています。そこに命ある鶏の姿が、哀れに見えました。記録としても大変貴重な写真になっています。
銀賞 「寄り道」 松島 嘉子(フォトクラブ中津川)
淡い光を受けながら、一頭の鹿が何を求めているのでしょうか?全体をソフトタッチの描写にまとめており、せわしい現世の中に於いて、心の安らぎを感じるように見せてくれました。
銀賞 「新年の散歩」 照井 俊男
(フォトクラブSUN)
真ん中の子馬はロバでよろしいのでしょうか?何れにしても子供と小さな馬との取り合せが、お伽の国の物語り的な構成で、上手に切り取っています。雪の中のわずかな草を食べている姿も一つの魅力になりました。
銅賞 「沈黙」 佐藤 曄(一般応募)
造形的な窓の向こうに一匹の白いワンちゃんとの構成がとても新鮮です。耳をピーンと立て目を見開いてカメラに向き合っている表情は、悲しげな感じにも見えます。質感がよく出ていて、作者のカメラアイが光っているようです。
銅賞 「被災家族の絆」 太田 信子(PhotoCreators)
写真だけを拝見すると、幸せ家族のホットな休日のひと時の一コマに見えます。さて!タイトルを頭に入れて見直すと、しっかりした家族の強い絆が伝わっている内容になっています。帽子を落とした子供の姿も、作品的なポイントになりました。
銅賞 「白露の朝」 佐藤 守男(一般応募)
淡く美しくソフトタッチの中にもピリッとした克明な描写になっており、見ていて安心、飾っておいて楽しめる雰囲気ある写真になりました。黒い虫さんまでが、この作品の中に良く溶け込んでいて、一役かっているように見えます。
銅賞 「スクラム」 松本 賀久也(盛岡写真クラブ)
ラグビーの街、釜石から若者達の力強い声が聞こえて来るようですね。力を合わせて立ち向かって行くようなエネルギーを感じます。私達にも元気のおすそわけを頂きました。
銅賞 「増殖漁景」 小林 愼悦(写友・北彩)
モノトーン調の作品ですが、冷たい鉛色した水に鮭が跳ねていて、かすかに見える水色の網がアクセントになりました。男達の動きがシルエット描写になり良い形で表現されています。
入選20点
佐藤孝美「後光差す銀の道」(写団アングル) 櫛桁允法「出漁」(写団アングル) 下斗米光円「おめかし」(盛岡写真クラブ) 高塩稔「青春」(いわてネイチャーフォトクラブ)平舘徹「まどろみ」(盛岡カメラ同好会)虫壁節子「雨に咲く」(写真サークル525) 北井崎昇「鎮魂を願って」(フォトイズム) 尾形勇吉「紋様」(写友・北彩)吉田龍平「親の力」(写友・北彩)小田健三「暫しも休まず」(コダックフォトクラブ盛岡中央支部)星道子「老舗」(コダックフォトクラブ盛岡中央支部)佐々木八重子「グリーンシャワー」(コダックフォトクラブ盛岡中央支部)馬場浩「はやぶさ」(花巻写真協会)平宏之進「天空の絆」(写団光像)高橋正克「よし!やるぞ」(フォトうすゆき) 高畑幸雄「祭りの夜」(フォトうすゆき)千葉茂樹「復興東北」(フォトサークル四季) 石川誠司「祈り」(大原写真クラブ)鈴木道明「古刹散策」(一関カメラクラブ) 高階和夫「一息」(須川写友会)
写真連盟展は、平成24年2月17日〜19日、盛岡市民文化ホールで展示されました。なお、林喜一先生にあと2年審査を、お願いすることになりました。
2012年2月19日(日)の総会で、小川文男氏が会長に再選されました。
今年の新しい役員人事は、以下のとおりです。
監事、熊谷顕幸、菊池正忠。副会長、高塩稔、太田信子。事務局長、松本賀久也。会計、井手清和。
常任幹事、菊池克美、小原孝夫、久慈省一郎、吉田稔、松島哲夫、今野鎮、佐藤文明、松本尚子。
2011 秋の撮影会の上位作品(元画像はカラー)
最優秀賞 「魔女出現」 今野鎮 (北上市) |
優秀賞「惜秋」 佐々木律子(盛岡市) |
優秀賞「通りゃんせ」 小原徳兵衛(盛岡市) |
第28回岩手県写真連盟公募展
(審査:柳谷次男)
平成20年2月29日(金)〜3月2日(日)
盛岡市盛岡駅西通 盛岡市民文化ホール(マリオス)
連盟大賞「2008ふるさと」八重樫定津彰(岩泉写真同好会)
金 賞「祭りの日」 竹花 信一(フォトクラブSUN)
銀 賞「縁 側」 久慈省一郎(フォトクラブ中津川)
銀 賞「チャレンジ」 林下 富雄 (写団アングル)
銅 賞「雨の祭りの日」 佐藤 曄 (一般)
銅 賞「異 界」 柏原 悌一 (盛岡カメラ同好会)
銅 賞「里の子」三田村要悦(いわてネイチャーフォトクラブ)
銅 賞「雪やこんこん」大倉 節子(フォトグラファーズ河南)
銅 賞「花」 熊谷 顯幸 (盛岡光映会)
入選:田村吉松「アワビ漁へダッシュ」(久慈写真協会)/又域政俊「盛夏」(写団アングル)/原金一「裸祈願」(二戸写友会)/北井崎昇「誘い」(盛岡写真クラブ)/佐々木松男「優勝を目指して」(盛岡光映会)/川代達雄「一打」(盛岡カメラ同好会)/虫壁節子「いのち」(写真サークル525)/菊池啓造「ワアー 雪だ」(西部写真クラブ)/池田正子「珍客」(フォトグラファーズ河南)/伊藤栄理子「春らんまん」(PhotoCreators)/ | 高塩稔「特訓中」(いわてネイチャーフォトクラブ)/葛巻紀男「邪気払い」(花巻写真協会)/平広之進「静寂なブナ林」(写団光像)/高橋貞勝「百鹿大群舞」(写団奥州)/小竹正直「絵馬」(一関カメラクラブ)/生田輝夫「日出づる処の鵜」(釜石写光クラブ)/口川忠雄「陽射の中で」(釜石フォト35)/鴨志田英雄「春の里」(写真集団「みやこ」)/金沢光郎「象」(一般)/石橋久「川下り」(一般) |
総 評:柳谷次男(社団法人日本写真家協会会友)
参加作品は例年ではありますが応募の多くの皆さんは、作風からも写真経験を積み重ねた人達であることが窺われます。また作品の印象としては「人を主題に」した作品に優れたものが多く見受けられます。作品の内容は総体的にみて、被写体の選択と包容力、叙情美の撮影手法など、さすがに28年の重ねた年輪を感じさせるものがあります。
言い尽くされた事ですが写真器材の進歩によって撮影が極めて容易になり、作品の表現や画質の向上に少なからず影響を与えていることが感じられます。
周知のとおり、写真界の大きな潮流と言われるデジタル写真は、画質に限って言えば、デジタルとフイルムの画像を見分けるのが難しくなりつつありますが、作品を対比するとクオリティー(品質)にまだその差が認められます。
従つて、プロ写真家の間ではデジタル画像のカラー印画紙(銀塩)プリントによる作品制作が、長期保存の目的からも理想的と称して行われています。プロ、アマチュア写真家を問わず客観的ながらも考えさせられる問題です。本題からの逸脱のお許し願って終えたいとおもいます。
選 評
連盟大賞「2008ふるさと」八重樫 定津彰
写真家は、作品を言葉としてその伝達する表現の内容に知恵を絞り、心を尽くします。それには先ず被写体の選択、発見が大事なことは言うまでもありません。この作品は、日が沈もうとしている吊り橋で遊ぶ子供達の光景を活き活きと詩情豊かに捉らえています。
切り絵を連想させるシルエットの画像は「実景と映像」の交錯?を効果的に感じさせる等、爽やかな郷愁感を印象づけています。また人間イコール自然環境との関係を思考させる内容を秘めているとも言えます。
なお、この様な対象(感動を呼ぶ光景や出来ごと)は案外身近な処に存在することを示唆しているとおもいます。
鮮明な優れた画質と共に、作者の写真経験の豊かさを感じさせる作品です。
金 賞「祭りの日」竹花 信一
結論から言って今回の応募作品の中で最も斬新かつ新鮮な印象を与える作品です。作者の極めて洗練された写真作画センスはまさしく敬服に値すると言っても過言ではありません。
現代と古来のファッションの対比が見どころですが、違和感が無くむしろ、祭りの衣装は斬新なファッションとして、背景の広告と不思議な交錯を感じさせています。
画像細部の青信号と白足袋の足並みは画像に感動を与え、ローマ字はそのリズムを形象しているかの様です。何ずれにしても写真によってのみ可能な表現であると言えます。
銀 賞「縁 側」 久慈 省一郎
日の傾きを静かに感じさせる印象的な画像であり、永い年月培われてきた風習や対話、民話などの文化を想いおこさせる雰囲気をもっています。
作画意図に対しての見方はいろいろですが、移り変わりの激しい現代の風潮の中にあって、穏やかな生活の存在と年月を経た暮らしの重みを感じさせています。
背景の単純化や色彩の深みなど、作者の真摯な創作の姿勢が窺われます。
銀 賞「チャレンジ」 林下 富雄
ザイル(登山用の綱)の操作で懸垂のバランスを保ちながら、高所を昇降するスポーツとして観る側も爽快感を覚えます。
作品は真摯に挑む少年達を健全な雰囲気で捉えています。作画の構図は画面の中に目を引く物を点在させると絵が散漫になります。
作品は太い樹を中心に左右相対に二人づつ、中央下方に一人を配置して、V字型逆三角形の理想的な構図で画面を整えています。画面の上に一部分覗いている足元は木の高さを感じさせます。
銅 賞「雨の祭りの日 佐藤 嘩
土地に古くから受け綻がれている五穀豊穣の信仰高揚の祭りと思います。
容赦なく降り続く雨の中、御輿の先頭を行く笛を吹く父と子供の対称的な表情と雨支度などの容姿をリアルに捉えています。背景の的確な採り入れ方と構図、リバーサルフィルムの活用など作者の確かな作画感覚を感じます。
銅 賞「異 界」 柏原 悌一
題名はともかく意想外の対象を、触感的な質感描写に依ってその対比を試みています。意表を突いた発想の異色性と風刺的な滑稽さを秘めた作品です。また黒白写真画像特有の画質が作品に説得力を与えています。優れた作品を得るには抽象的ですが被写体の冷静な観察、判断が不可欠と言えます。
銅 賞「里の子」 三田村 要悦
故郷を懐かしく思い出させる雰囲気に満ちています。作品は見方に依っては意味が異なります。この子の住まいなのか両親と訪ねてきたのか出掛ける前か、題名からこの子の家と思いますが、何れにしても子供は体全体が表情と言います。靴を揃える様子が可憐です。画面の作物は季節を感じさせます。
銅 賞「雪やこんこん」 大倉 節子
暗い林を背景に音もなくしんしんと降り注ぐ雪、カメラの近くで大きくボケる雪など、まさしくリズムを感じさせます。また立ち並ぶ古木の列は画面に奥行きを作り、白黒写真の様な無彩色のカラー画像は作品に特有の重厚感を与えています。感覚的にも技術面に於いても完成度の高い風景作品です。
銅 賞「花」 熊谷 顯幸
アーティスチックな抽象絵画を思わせます。この様な創作的な写真画像は抽象画と同様に観る人の感覚や感情に全て委ねられます。従ってその受け止め方や評価は鑑賞する人夫々の背景にある知識によって決まります。つまり知識が広ければ広い程多くの物を受け入れられます。作品はそれを示唆しています。自然光のプリズム効果による分光色を綺麗に捉えています。
岩手県写真連盟 2008年度・新役員名簿
会 長 小川 文男 名誉会長 柏原 悌一 副 会長 川代 武三 副 会長 菊池 克美 監 事 佐々木 正一 監 事 高塩 稔 事務局長 松本 賀久也 会 計 井手 清和 顧 問 藤村 富蔵 〃 吉田 利男 〃 松本 源蔵 |
常任幹事 久慈 省一郎 〃 熊谷 岩奇 〃 高橋 秀男 〃 吉 田 稔 〃 高橋 廣実 〃 星 岩男 〃 千葉 久治 〃 熊谷 顯幸 〃 太田 信子 参 与 石母田 四郎 〃 佐々木 秀雄 |
平成20年度 岩手県写真連盟・「役割分担表」
「芸 術 祭」 9月20日(土)受付 9月21日(日)審査 主任 川代武三 吉田 稔 高橋廣実 星岩男 熊谷顯幸 太田信子 「連 盟 展」平成21年2月20日(金) 〜22日(日) 写真連盟・総会 22日(日)マリオス 主任 熊谷岩奇 久慈省一郎 佐々木正一 高塩稔 |
「会報作成・会員名簿作成準備」 会報 6月20日頃、10月20日頃 主任 菊池克美 千葉久治 「岩手芸術祭美術部門実行委員」 小川文男 松本賀久也 「アートフエスタいわて2008実行委員」 小川文男 参与 石母田四郎 参与 佐々木秀堆 |
写真連盟の常任幹事の、久慈省一郎 さんが、5月23日(金)、ホテル東日本での「岩手県芸術文化協会表彰式」において、20年間の写真連盟での活動に対して、表彰を受けました。